展開が読めるようになる道

レース展開を読む手順としては、まずは逃げ馬を把握し、その他の馬の脚質をチェックするところから始まり、続いて枠順、コース形態、騎手の思考、馬場状態、レース距離を順に見ていきます。

脚質と枠順のチェックで、ハナを切る馬とそれに続く馬群の隊形が、コース形態のチェックでラップ構成が、騎手の思考のチェックで仕掛けのタイミングが、馬場状態のチェックでコース取りを予測することが出来ます。それらを全てまとめたものが、展開予想と言えます。

 

手順①:脚質チェック

展開を読むにあたって、真っ先にチェックをしなければいけないのが、逃げ馬の存在です。レースの展開とペースを作るのは逃げ馬だからです。

逃げ馬をチェックする際に、チェックポイントは以下の4つ。

①逃げ馬の頭数チェック
逃げ脚質のチェック:逃げaか逃げbか。
③テンの脚の速さチェック
逃げタイプのチェック:マイペース逃げか溜め逃げか

まずは、逃げ馬が何頭いて、ハナ争いをするのがどの馬たちかをピックアップします。つづいて、その逃げ馬たちが逃げaなのか逃げbなのかを把握することで、どうしても逃げなければならない馬を搾り出します。

どうしても逃げたい馬が見つかれば、それが1頭ならばその馬が逃げる可能性がかなり高いので、その馬の逃げタイプをチェックし、もしもまだ2頭以上いるようならば、どちらがハナ争いを制するかを考える必要があります。

そこで見るのが、テンの脚の速さです。スタートダッシュのスピードのことであり、これが速ければ速いほど、ハナ争いで優位に立つことが出来ます。過去の逃げたレースでの、テンのラップから確認しましょう。

逃げ馬のチェックが終わったならば、先行以下の脚質を全てチェックし、「タテ」の位置でのだいたいの馬群の隊形を予測します。

 

手順②:枠順のチェック

最初の馬群の構成に影響を与えるもう一つの要素として、枠順があります。競馬場がトラックの形をしている以上、内枠寄りの馬ほど距離のロスが少なく、優先的なポジション確保が行えると言えます。

これは、ハナ争いにおいても同じことが言え、手順①でチェックした逃げ馬のポイントの中に、枠順を含めて、もう一度ハナ争いのシミュレートをする必要があります。スタートから最初のコーナーまでの距離が短ければ短いほど、ハナ争いは内枠の馬に利があるので、テンの脚を枠でカバーできる可能性のある逃げ馬が内枠にいるかもしれません。

先行以下の脚質の馬についても、枠順によってあらかじめ「ヨコ」の位置がそれぞれに与えられていると言え、各馬の脚質を考慮に入れた上で、どのようなポジショニングとなるかを想定します。一般的には、先行脚質ならば内枠が有利と言え、差し脚質ならば外枠が有利と言えます。

手順①と②の両方を終えた時点で、どの馬がハナを切るかを想定し、それに続く馬群の隊形がどのようになるかを思い描くことが出来ます。ハナを切る予定の馬がどういったタイプの逃げをうっているか考えることで、ペースの想定も見当がつきます。

 

手順③:コース形態のチェック

馬群の隊形が想定出来たところで、次はコース形態のチェックです。コース形態から想定できるものは、レース全体のラップの構成・及びペースです。

直線の長いコースならば、どうしても直線手前で先行勢は息をいれようとするので、馬群のペース自体は緩みがちになります。逆に直線の短いコースならば、直線前のカーブではもう仕掛けが始まっており、馬群全体が加速します。

カーブが大回りのコースならば、カーブの角度が緩やかな分スピードが殺されにくいので、極端な緩みは発生しづらく、逆に小回りのコースならばスピードを乗せづらいので、ペースが落ち着きやすくなります。

2つを組み合わせると、直線の長い大回りのコースならば、先行勢が息をいれたところで、後方勢はスピードを落とさずに差をつめたまま直線に入ってこれるので後方勢が有利で、直線の短い小回りコースならば、後方勢がスピードを乗せづらく、先行勢も仕掛けており差を詰めるのが難しいので、先行勢が有利となります。

 

手順④:騎手の思考のチェック

実際に馬をコントロールしているのは騎手なので、騎手の思考を考えることによって、各馬がどういうレースをするかが見えてきます。各騎手の得意とするポジションと、仕掛けのタイミングを把握します。

出走馬の脚質から想定した馬群の隊形を、騎手の好みにあわせて多少修正します。そして、騎手ごとに仕掛けるタイミングの好みがあるので、それぞれの騎手の得意なレースを把握し、騎乗馬がどのタイミングで仕掛けを開始するかを掴みます。

 

手順⑤:馬場状態のチェック

馬場状態をチェックすることで、各馬のコース取りにどのような影響があるかを考えます。

開幕週のような、馬場状態が全面フラットならば、距離の利がある内枠が有利と言えますが、開催が進むにつれて内側から荒れてくると、先行勢、あるいは内枠の馬は荒れた馬場を通らされることとなります。それでも距離の利があるので、多少ならばまだ気にしなくてもいいですが、距離の利を越えて馬場状態の悪化が進行すると、内枠の馬に不利に働きます。

 

手順⑥:レース距離のチェック

手順⑤までにおいて、大体のレース展開の流れの想定は固まります。あとは、それを修正するファクターとなりうる距離をチェックします。レース距離を考慮にれることで、ペースの補正を行います。

レース距離は、短ければ短いほどスピード能力を問われることになるので、スタートからスピードに任せて飛ばす競馬が目立ち、前傾ラップを刻む傾向が多く、逆に長ければ長いほどスタミナ能力を問われることになるので、スタートからスタミナを温存する競馬が目立ち、後傾ラップを刻む傾向が多くなります。

特に、長距離の経験がない馬が多数出走している長距離レースの場合、極端にスローペースとなり、瞬発力勝負になりがちです。

 

手順⑦:人気馬の位置取りのチェック

特に格が高いレースにおいては、人気馬の位置取りも展開に影響を及ぼす可能性があります。人気馬が先行勢にいる場合は、展開に影響を与える可能性がありますが、人気馬が後方勢の場合は、展開の影響を受ける側に回ることになるので、無視して結構です。

人気馬が展開に影響を与えうるのは、その前後の馬の仕掛けのタイミングに影響を与えるからです。人気馬の前後にいるであろう馬が有力馬であるかどうかを見極め、有力馬であれば、人気馬をどうすれば負かせるかを考え、逆に有力ではない馬であれば、どうすれば人気馬と共存できるかを考えた上で、どういう仕掛けをするかを予想します。

 

「展開が読めるようになる道」まとめ

①まずは、逃げ馬をチェックし、誰がハナを切ってどういうペースを作るかを予想する
②続いて、逃げ馬の後ろにつける馬群の隊形を予想する
③枠順をチェックし、どの馬がどういうポジション取りになりそうかを予想する
④コース形態をチェックし、どのようなラップ構成になりそうかを予想する
⑤騎手の思考をチェックし、各馬の仕掛けのタイミングを予想する
⑥馬場状態をチェックし、各馬のコース取りを予想する
⑦レース距離を考慮にいれ、全体的なペースの予想を補正をする

出走馬を全て見渡して、過去のレース結果から逃げる馬を探し、その馬が逃げなければいけない馬か、控えても競馬が出来る馬かをチェックします。逃げなければいけない馬がいればその馬が逃げると考えられ、それが複数頭いる場合はテンの脚と枠順、鞍上の性格を考慮に入れ、どちらがハナを切りそうかを予想します。

ハナを切る馬が予想できたら、その馬がどういうペースで逃げる馬かを過去のレースから抽出し、レースのペースを予想します。そして、その後に続く馬群の隊形を、各馬の脚質と枠順から予想します。

馬群の隊形の全体像が想像出来たら、次はコース形態から、そのレースでのラップの出入りがどうなりそうかを予想します。主なファクターとなるのは、直線の長さとカーブの角度です。

馬群の隊形と、ペース、そしてラップ構成が予想できたら、次は各馬の鞍上の思考と性格を考え、どの馬がどのタイミングで仕掛けを開始するかを予想します。

続いて、馬場状態から、どの部分が一番良さそうか、あるいはどの部分が一番荒れているかを考えます。そして、良い部分を通れるのはどの馬か、荒れている部分を通らされるのはどの馬かを予想します。これは、枠順と脚質と関連付ける必要があります。

レース全体の展開予想が大体まとまったところで、レース距離を考慮に入れ、ペースの補正を行います。短距離寄りであればあるほど、ハイペースになりがちで、長距離寄りであればあるほど、スローペースになりがちです。

そして、人気馬の位置取りを考え、その前後にいる馬が、その人気馬を負かすために、あるいは人気馬と共倒れにならないように、どういう仕掛けをするかを予想します。

レース展開を予想する基本的な手順は、上記の通りです。この他にも、細かいファクターはその時々で発生するかもしれませんが、根本的な流れさえ押さえておけば、どのレースでも展開予想をすることは可能です。

続いて、レース展開予想に慣れる方法を見ていきます。

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