展開予想が難しい理由

展開は、出走馬の各陣営の思惑によって生み出されますが、それを全て把握したとしても、各陣営の思惑が全て一つのレースの中で共存することは不可能なので、予想した展開から次第にズレていってしまいます。それを加速させるのが、マギレを含む二次的要素で、一度マギレが発生してしまうと、その後展開がどのように変化するかは、ほぼ推測不可能となります。

展開予想で最も大事となるのは、展開に最も影響を与える要素を見つけ出すことです。これは、一朝一夕で可能なことではなく、数多くのレースを見て、展開予想をしてみて、初めて身についてくるものです。付け焼刃では攻略できないのが、展開予想の難点と言えます

しかし、逆に言えば経験を積めば誰でも展開予想の精度をあげることができるとも言えます。展開予想の精度の向上＝回収率の向上となるので、時間をかけて展開予想のノウハウを積み上げることが大切です。/p>

出走馬の数だけ思惑が存在する

展開とは、出走馬の各陣営の思惑によって生み出されます。いかなるレースをすれば勝てるか、一つでも着順を上げることが出来るかを事前に考察し、それに沿ったレースを各自心がけようとします。となれば、出走馬の数だけ各陣営の思惑は存在するということになります。

展開を予想するにあたっては、その各陣営の思惑を全て高い精度で断定する必要がありますが、内部関係者でもない限りは陣営の思惑を全て理解することは難しく、あくまで推測の域を過ぎません。また、仮に断定が出来たとしても、各陣営の思惑が全て一つのレースの中で共存することは不可能であるゆえ、正解への道のりは困難と言えるでしょう。

出走馬全陣営の考えを推測する必要

展開は、出走各馬がそれぞれの思惑を持ってレースをすることによって表れる影響を、連続した一つの現象として形成されるものと考えられます。仮に馬が電動式のラジコンおもちゃならば、思考を持たない機械的なレースになるので、展開は形作られることはありません。

出走各馬がそれぞれ、展開という一つの現象を形成するピースである以上、一つでも欠けると展開は一変します。つまり、出走全馬の思惑を完璧に把握することが、精度の高い展開予想へ繋がると考えられます。

しかし、ただの競馬ファンという立場にある以上、陣営の思惑というのは、メディアというフィルターを通されて加工された情報から推測する以外手はなく、本音に行き着くのはかなり難しいと言えるでしょう。陣営の思惑に関する推測が実際の思惑と外れていれば外れているほど、展開予想の精度も落ち、正解とは限りなく遠いトンチンカンな答えを求めてしまいます。

　

全陣営の思惑を完璧に把握したとしても？

出走馬全陣営の考えを推測することさえ難しいというのに、仮に全てを完璧に把握したとしても、その通りに動いてくれなければ結局はハズレとなってしまいます。出走馬はみな、自らの結果を最大限のものにしようと努力して走っています。レースにおいて、その願望が同居することは不可能であり、ある陣営の思惑通りに展開が動いているならば、それはある陣営にとっては不都合な展開ということになります。結局は、全陣営の思惑を把握したとしても、全てがその通りに進むことはありえないのですから、展開予想は難しいのです。

1つのマギレから大勢は一変する

展開とはとても繊細なもので、レース中のどこかで少しでも乱れが生じると、その姿を一変させます。このレースの乱れをマギレと呼びます。マギレには、避けられるものと、不可避なものの2つがあり、そのどちらもがレース結果に多大な影響を与えます。

　

マギレの要素

マギレの要素には、可避なものと、不可避なものの2つがあります。具体的には、以下の要素がマギレの原因となっています。

可避	騎手の判断・馬の悪い癖
不可避	出遅れ・落馬・被斜行・故障発生

ここでの可避・不可避の分類は、現場での話もそうですが、予想する側から見てのものと考えてください。つまり、可避なマギレとは、ある程度予測可能なマギレであり、不可避なマギレは、文字通りアクシデント絡みであり予測不可能なものが中心となっています。

マギレがレース展開に与える影響

可避できる要素としては、騎手の性格や得意な戦法・及び手腕と、馬の悪い癖を事前に把握しておけば、それを考慮にいれた展開予想が可能となります。とはいえ、あくまでマギレは発生確率が0でも100でもないがゆえにマギレなのであって、可能性を予測できたとしても、実際に発生するかはレースが始まってみなければわかりません。マギレを考慮にいれたとたんに、展開予想のシナリオが2通り発生してしまい、結局は悩みのタネとなってしまいます。

言わずもがなですが、不可避なマギレは基本的に予測不可能なので、発生してしまった瞬間にシナリオが一変してしまいます。これは現場の人間にとっても予測不可能なものが多いので、発生後にどう展開が変化するかは全くわかりません。仮にマギレが発生するまでの展開予想が完璧に行っていたとしても、一度マギレが起きてしまったら全て台無しになってしまい、展開予想は既に人智を超えてしまいます。レース結果は正解の数は限られていますが、レース展開は無限の要素を秘めているからこそ予想が難しいのです。

展開予想のスキルは、積み重ねが大事

展開を構成する要素には、様々なものがあります。その全てが、展開に確実に影響を与えるものであるのは間違いないのですが、それぞれがどの程度の影響を与えるかはレースによって変化するので、常に各レースごとに、何が最も展開を左右しそうかを考えなくてはなりません。これは、影響力を数値で比較できるものではないので、数多くレースを見て、展開予想をしてみて、どういったレースの時にどういった要素が重要となるかを掴む必要があります。つまり、経験が大事な財産となるのです。

　

展開の構成物の中で、最大の影響力があるものを探す

展開を構成する要素の全てが、展開に確実に影響を与えるといっても、その全てを完璧に把握して、どの程度の影響力があるかを把握するのは、どんなに優れたスーパーコンピューターでも無理です。二次的要素が多すぎるからです。なので、その中で何が最も重大な影響を与えるかを考えることが重要となります。

しかし、レースによって行われる条件が全く違います。そして、展開は出走馬を含めたレースの条件によって変化するものなので、決して全く同じ展開というのはありえません。ただ、その中でも傾向というのは存在するものなので、レース条件によってどういう展開になりやすいか、どういう要素が最も展開に影響を与えるかという傾向を掴むことが出来れば、展開予想の上達に繋がるといえます。

　

展開予想は経験によって上達する

競馬に限らず、将棋やチェスといった、戦略の構築が勝負の分かれ目となるゲームは、細かく枝分かれした展開を紐解く能力が必要とされます。こういった展開を読むゲームは、未だにコンピューターよりも人間の経験の方が優れているという結果が出ています。大局観という能力が、人間は秀でているからです。

そして、その大局観は、経験が産み落とす財産だと考えています。まだ何も分からない手探り状態では、人間は目の前と足元にばかり注意がいってしまい、全体を見渡すことは出来ません。しかし、経験を積めば積むほど、全体を把握し、その中で最も重要となるポイントを発見することが出来るようになります。これは、競馬の展開予想でも同じです。始めは自らが考えつく展開の構成要素を片っ端から当てはめて展開予想をし、それを繰り返すうちに、レース条件に応じて何が最も影響を与えやすいかを次第に感じ取っていけるようになります。

「展開予想が難しい理由」まとめ

①展開は、出走馬の各陣営の思惑によって生み出される
②出走全陣営の思惑を理解しても、その通りにレースは進まない
③レース展開は、マギレの発生で一変する
④マギレには、可避なものと不可避なものが存在する
⑤展開を予想するには、最も影響を与える要素を探す
⑥展開予想に一番必要なスキルは、経験である

展開とは、出走馬の各陣営の思惑によって生み出されます。全陣営の思惑を読み取ることが最初の一歩となりますが、正確な情報は一般の競馬ファンでは得るのが難しいので、自ら推測するほかありません。

仮に、うまいこと全陣営の思惑を把握出来たとしても、陣営の全てが思惑通りにいくことはありえないので、必ず最初のレールから逸れていきます。それはつまり、完璧な展開予想をしたと思っていても、確実にズレが生じていくということになります。

また、レース中にはマギレの要素がいくつか存在し、マギレが発生してしまったとたん、それまでとは展開が一変します。マギレには可避なものと不可避なものが存在し、どちらが発生しても展開に与える影響は多大なものであり、その後の動きを予測するのはほぼ不可能と言えます。

結局は、完璧な展開予想などは存在しないので、展開に影響を与えうる要素のうち、どれが最重要かを見極めることが大切になります。そして、それを見極めるために最も必要なものは経験です。繰り返し展開予想をし、レース条件に応じて最も展開に影響を与える要素の傾向を掴むことが重要です。

展開予想の難しさについて書いてきましたが、結局一番重要なのは数をこなし、経験を積むことです。逆に言えば、とにかく展開予想というフィールドに足を踏み入れ、経験を積めば、誰でも展開予想の方向性を掴むことが可能ということです。一見難しそうな展開予想ですが、一度自分のものにしてしまえば、あとはそれを利用して回収率を上げるための最高のスキルとなるので、頑張って習得しましょう。

次は、具体的に展開を左右する要素について考えていきます。

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