レース展開の予想が重要な理由

競馬を予想をする上で、最も重要でありながら最も難しいのが展開予想です。 しかしこれを避けては予想力の向上を図ることはできません。 競馬は、ギャンブルとして成り立たせるために、JRAによって各馬が綿密にクラス分けされ 大体同じような能力の馬がレースをするようになっています。 なのでレース結果は、各馬が能力を出し切れたかどうかに大きく左右されます。 そして、各馬の競走能力は、レース展開によって確実に影響を受け、結果へと直結します。 展開予想とは、各馬が能力を出し切れるかどうかの判断をするともいえるでしょう。

レース展開の影響で、あまたの人気馬が馬群に沈み、人気薄の馬が台頭してきました。 多少の各馬の能力の優劣など、レース展開一つで逆転してしまうという証明です。 レース展開を読めるようになるようになれば、必ず予想力、続いて競馬力が向上します。 危険な人気馬が消せて、人気薄の馬に注目できることが、いかに競馬に勝つ上で大切なことかは言うまでもありません。

同じくらいの能力の馬がレースをする

JRAによるレースのクラスわけJRAは、全てのレースを6階層に分けて、同じような能力の馬が競走するようにレースプログラムを組んでいます。それは、競馬をギャンブルとしてなりたたせるためで、まず前提としてレースは、同じような能力の馬同士で競走することを忘れないで下さい。 同じような馬同士が走るということは、人気のない馬でも展開次第で勝ち負けになるという図式が成り立つということが、意外と忘れがちですが、展開を考える上でかなり重要になってきます。

「賞金クラス体系」による競走馬能力の均等化

JRAのレースは、競走馬の出走歴と収得賞金額によってクラス分けされています。
レースのクラスわけの詳細な解説 [JRA公式サイトより]
競走馬の賞金クラス体系の詳細な解説 [Wikipediaより]

新馬・未勝利戦(1,673頭/27.4%)
未勝利の馬同士のレース。新馬戦は未出走の馬だけが出走できる。 脚質も実績も分らない馬が多いので血統や持ち時計を参考にする。 距離も短く、ダートレースも多いので展開を読みにくい
条件戦(500万・1000万・1600万 4,135頭/67.4%)
未勝利を卒業した馬同士のレース。競走馬の獲得賞金の金額ごとに3つのクラスで分けられる。 3つに細かくクラスを分けることによって一番厳密に同じような能力の馬同士が競走するので レース結果に一番展開が関わってくる
オープン戦・重賞 (320頭/5.2%)
条件戦を卒業した馬。どのオープン戦にも出走できるが、レースの出走頭数が制限をこえた場合は 基本的に収得賞金の多い馬が優先して出走できることになっているので、 OP・G3・G2・G1でも基本的に同じような能力の馬同士でレースすることが多い。

クラスが上がっていくにつれて、馬同士の能力の差はなくなっていくと言え、余計にレース展開の影響を強く受けやすくなると考えられます。

2006年夏に競走条件制度が変更

2006年の夏以前の競争条件制度では、レースごとの収得賞金額の取り決めが複雑だったことから、勝ってもう一度同条件でレースをするということが出来ました。本来ならばクラスが上がるはずの馬が、もう一度同じクラスで競馬が出来るのだから有利に決まっています。圧倒的有利な馬がいるということは、ギャンブルという観点において熱が冷めてしまいます。それを防ぐために、JRAが一度勝ちあがった馬は、必ず上のクラスに昇級するという制度に変更しました。それにより、さらに同じくらいの能力の馬がレースをするという傾向に拍車がかかったと言えます。

斤量設定による能力の平等化

そして、出走馬の能力をさらに均一化するために存在するのが斤量です。格式の高いレースは、強い馬が勝つように定量で行われることが多いですが、条件戦では別定・ハンデ戦が目立ちます。さらにギャンブル性を高めるために、JRAは出走各馬の成績に見合った斤量を背負わし、出来る限りゴール前で横一線に近くなるようなレースの開催を望んでいます。

競走馬は展開に恵まれるときにこそ能力が発揮できる

競馬は同じような能力の馬同士競走するので、レースに勝つ馬は大体能力をレースで最大限出し切れた馬です。競走馬は展開に恵まれると能力が発揮できる反面、展開に恵まれないと能力を発揮できません。それは、ひとえに競走馬が生き物であるからです。

馬が潜在能力を最大限発揮できる時

馬はとても神経質な動物で、多少のことでも敏感に反応してしまい、競走能力に影響を与えてしまいます。その観点から、馬が自己の潜在能力を最大限発揮できる時というのは、その馬がいかにリラックスしてマイペース(馬なり)で走ることができたかに尽きます。リラックスして走るポイントは、前後の近いポジションに他馬がいないということが挙げられます。前の馬との距離が近いと、馬は追い抜こうとして力んで走ってしまうことことがあり、逆に後ろの馬との距離が近いと、後方からくる気配に反応してプレッシャーを受け、精神的に縮こまってしまうこともあります。

もちろんこれは全馬に対して言えることではありません。馬によっては馬群のど真ん中に入れても全く動じることなく競馬ができる馬もいます。しかし、根本的には馬という動物は神経質なので、走りも精神的なものに大きく左右されます。いかに気持ちよく走るか、これが自己の潜在能力を最大限発揮できる時と言えるでしょう。

レース展開が馬の能力に与える影響

いかにリラックスしてマイペースで走れるかが、馬の能力をどれほど引き出せるかと繋がると言いましたが、レースが行われる以上、全馬がマイペースで走ることができるという構図はありえません。ある馬がマイペースで走れる有利な展開となったならば、その分マイペースで走れず不利となる馬が存在します。マイペースより速いペースで走ってしまえば、最後は当然スタミナ切れとなってしまい、マイペースより遅いペースで走ってしまえば、能力を完全に出し切らずにレースを終えてしまうこととなり、能力を完全に出し切った馬に先着を許してしまうことでしょう。必ず特定の馬にとって有利となる展開がレースには存在します。それがいったいどの馬に有利となるかを把握できるかどうかが、競馬予想の向上に繋がります。

競馬の神様・大川慶次郎氏が始めたレース展開予想

競馬の予想に、レース展開というファクターを最初に採り入れたのは、競馬の神様こと大川慶次郎氏です。レース展開が有利に働く馬を中心に予想をするという発想は、当時は極めて斬新で、競馬予想法に新たな風を吹き込みました。そしてそのレース展開を重視した予想により、一日にパーフェクト予想を達成してみせたことから競馬の神様と謳われる様になりました。逆に考えてみれば、伝説のパーフェクト予想は、展開予想なくしてはなり得なかったことと言えるでしょう。それほど競馬の予想にレース展開は重要な要素と言えます。

レース展開を読めると競馬に勝ちやすい

競馬とは、最初にJRAによって25%が控除され、残りの75%をみんなで奪い合うギャンブルです。それに勝つためには、他人と同じ事をしていてはいけません。他の人が気が付かない予想をするからこそ競馬で勝てるのです。他の人と同じ予想をしていたのでは、いつまでたっても勝ち組には回れません。他の人がやっていない予想で代表的なものがレース展開判断です。

競馬ファンは展開を軽視しがち

今改めて考えてみれば、何故それまでにレース展開というファクターが予想の材料に含まれなかったかが理解に苦しみますが、大川慶次郎氏がレース展開からの予想を発案してからかなりの時間が経過した今でもなお、多くの競馬ファンが予想をする時にレース展開を軽視している傾向があります。

ある調査では、世間の競馬ファンがレース予想を行う上で重要視するファクターの最上位にランクインしたのが、「最近の実績」で、以下「厩舎のコメント」「調教タイム」「トラックマンの印」「騎手」「距離・コース適正」「血統」に次ぐ8位にレース展開という結果となりました。

もちろん馬の能力も重要なポイントです。過去の実績や、調教タイム、適正などから中心視する馬を決めるのも悪いことではありません。しかし、文頭でも書いたように、同じレースに出走している馬の能力は、それほど大差ありません。さらに能力上位と周囲が考える馬は、必ず人気サイドとなってしまいます。もちろん能力上位の馬が、なんの不利もなく回ってくれば、あっさり勝つ可能性も高いでしょう。しかしそんな例は極めて稀です。極めて稀な結果がさらに人気サイドの低配当では、いつまでたっても競馬の勝ち組には回れません。

レース展開の予想力が向上すれば、展開が有利に働く馬、逆に不利に働く馬というのがピックアップできます。今まで馬の能力ばかり重視していた人も、レース展開を考えることによって的中率、回収率ともに上昇してくるでしょう。この時点で他の競馬ファンより圧倒的有利な地点に立てたと言えます。

レース展開を重視しない理由

おそらくみなさんも、薄々レース展開が大事ということは理解していると思います。それならば何故レース展開を重視して予想をしないのでしょうか。それは、レース展開というのはまぎれる要素が多様にあり、二つとして全く同じレースがないということが理由に挙げられると思います。全く同じようなレースがないということは、基本形をモノにしたあとの応用力が問われるということです。この応用が難しいために、諦めてしまう人が多いのでしょう。

プロの予想家はレース展開を重視している

世間でプロと言われる予想家は、少なからずレース展開を予想に取り入れています。レース展開を無視した予想は、見当違いの方向へといってしまう可能性があるからです。レース展開を考えるということは、そのレースの全体像が浮かび上がるわけで、どの馬が台頭しやすいかがより強くピックアップできるということでしょう。

人気馬が負けたときの騎手と調教師の言い訳ベスト3

人気馬が負けた時のコメントは色々とありますが、中でもよく目立つのがこの3つです。

  • 1位:展開が向かなかった・・・その展開を想定できませんでしたか?
  • 2位:不利を受けた・・・それはあなたの騎乗の技術が低いからでは・・・。
  • 3位:能力を出し切れなかった・・・能力を出し切らせるのがあなたの仕事でしょう。

「レース展開予想が重要な理由」のまとめ

①競馬はだいたい能力の同じ馬同士で競争する
②レースは能力を最大限発揮できた馬が勝ちやすい
③能力を発揮できるかはレースの展開に大きく左右される
④レースの展開が読めれば勝ちやすい馬が発見できやすい
⑤勝ちやすい馬を発見できれば、予想が的中しやすくなる
⑥展開予想という他の人があまりやっていない予想であてることにより高い配当を獲得
⑦予想に展開予想を組み入れることにより的中率・回収率の向上につながる

競馬予想において、いかにレース展開が重要かということについて書いてきましたが、文頭に書いたように、レース展開予想は、最も重要であり、また最も難しいものです。一朝一夕で簡単にマスターできるものではありません。しかし、一度マスターしてしまえばあなたの馬券的中率、回収率は格段に向上するでしょう。最も難しいがゆえに、多数の競馬ファンが避けて通っている道のレース展開予想。これを見につけることが出来れば、競馬の勝ち組への道は開けます。

レース展開予想の難しさを強調しましたが、入り方を間違えなければそれほど大変なものではありません。基本をきっちり身につけることが出来れば、みるみるうちにあなたのものとなっていくでしょう。そこで今回、レース展開の判断力の基礎力が身に付くようなコンンテツとして「レース展開判断・基本編 」をまとめてみました。レース展開判断の重要性が少しわかってきたところで、次は、もうちょっと具体的に、
レース展開を考えるということはどういうことか」を見ていきましょう。


 

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