展開重視理論

人気馬が負けた時の敗因に、レース展開がよく挙げられます。人気になっている馬というのは、基本的には実力を評価されている馬、いわゆる強い馬です。そんな強い馬でも、レース展開次第ではあっさりと負けてしまうのです。そのことを考えると、馬券の検討にレース展開というのがとても大事な要素だというのがわかりますね。ここでは、予想をレース展開から考察していこうという展開重視理論を紹介します。

馬の特徴により戦法は変わってくる

馬は当然ですが、生き物です。生き物ということは個性があります。馬によっては、気性が荒かったり、臆病だったり、我慢強かったり、負けん気の強い馬もいます。一瞬のスプリント能力に長けている馬もいれば、長くだらだらとある程度のスピードで走るのが得意な馬もいます。そういった各馬の特徴は、レース中の戦法に影響がでてきます。

気性面の影響

気性面の特徴から考えていくと、たとえば、臆病で周りに馬がたくさんいるのを怖がる馬などは、必然的に周りに馬を置かないように、逃げるか追い込みかといった極端な戦法を取らざるを得ません。仮に馬群の中を走らせたら、レース途中でやる気をなくして自ら競馬をやめてしまい、実力を出し切れないでしょう。逆に我慢強い馬ならば馬群の中でもまれたとしてもまったく問題ありません。

能力面の影響

能力面の特徴から考えていくと、一瞬のスプリント能力に長けている馬、いわゆる「切れる馬」は、出来る限り最後まで脚を溜めて、直線に向いてから一気に追い込んでくる競馬があっています。一方「長くいい脚を使う馬」は、悪くいえば「ジリ脚」ということになり、直線向いて、同じ位置から「切れる馬」とヨーイドンの競馬をしたらまず勝てません。しかし一方で、「長くいい脚を使う馬」は、良くいえば「バテない馬」ということにもなります。ですから「長くいい脚を使う馬」は、少し早めにスパートを開始したほうが能力を発揮できるということになりますね。

出走馬の戦法を見てみよう

それでは、手元にある出走馬の過去のレースぶりを見てみましょう。大抵の新聞ならば、その馬が以前のレースで、馬群のどのあたりに位置して競馬をしてきたかということが乗っています。親切な新聞になると、2コーナー、3コーナー、4コーナーの位置取りがそれぞれ記載されていたりもします。これを見ればその馬の脚質がだいたいつかめますね。

逃げ馬の数に注目

逃げ馬が多い=ハイペースになりやすい

先ほど申し上げたとおり、逃げ馬というのは、逃げなければ持っている能力を発揮できません。つまり逃げ馬は是が非でも逃げたいのです。他に譲る気は基本的にありません。もちろん逃げ馬の中にも、ある程度融通の利く馬もいて、逃げなくても好位を追走できる馬もいますが、それでも出来ることならば逃げたいのです。

逃げ馬がレースに多数いた場合、どれも逃げたがるために、スタート直後の先頭争いは熾烈を極めます。まるでゴール前の攻防でもしてるかのごとく、騎手は馬を追いまくり、必死に先頭に立とうと他の馬と競います。すると必然的にペースはあがりますよね。いわゆるハイペースになります。ハイペースになると、逃げ馬を含め、先行勢は苦しい展開となり、ゴール前ではスタミナ切れになって失速してしまいます。そこを中団より後方で待機していた馬が、満を持して先行勢を捕らえにかかるわけです。これがハイペースの時の典型的なレース展開です。

逃げ馬が少ない=スローペースになりやすい

逆に逃げ馬が極端に少ないレースの場合、ライバルがいないのですから、その逃げ馬はスンナリと先頭に立つことが出来ます。スタート直後に無理にペースをあげることなく先頭に立てる上、その後も競りかけてくる馬がいないわけですから、自分のペースで逃げることができますね。そうなると逃げ馬有利の展開となり、スローペースに落として競馬ができます。

スローペースでレースが進むと、逃げた馬を含め、先行勢のスタミナもまだ十分に残っており、直線向いても脚色は衰えません。中団より後方で待機していた馬も、もちろんスタミナは十分すぎるほど残っているのですが、生憎自分より前に位置している馬も元気なのですから、必死に追い上げてもなかなか差は詰まりません。そうなると、道中の位置どりの差が、そのまま最後の結果へと結びついてしまうのです。いわゆる前残りですね。これがスローペースの時の展開的なレース展開です。

展開重視理論まとめ

もちろん有力馬の実力が、他の馬と比べて図抜けていた場合は、展開に関わらず勝つことも多々あります。しかし、展開が極端なハイペース、あるいはスローペースとなった時の伏兵の台頭は、いちいち例を出していたらキリがないほどあります。基本的に平均ペースで流れた場合は、どの馬も平均的に実力を出し切れるので、有力馬が力どおり走って勝つことが多いですが、出馬表を眺めて、「おや?このレースはペースが極端になりそうだぞ?」と感じた場合は、展開が向きそうな馬を狙ってみると面白いかもしれません。うまくハマれば大穴ゲットのチャンスですね!


 

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