馬場状態理論とは

競馬はサラブレッドという生き物を対象としたギャンブルですから、競走馬を中心に予想するのが筋ですが、実際に走る競馬場の状態も予想する上では熟知しておくことが必要です。馬場状態に応じてその巧拙を見抜いて予想に活かすのが馬場状態理論です。

馬場状態をつかむ

馬場状態の発表には稍重・重不良の4種類があります。海外では更に細かい馬場状態の分類があるそうです。重馬場と言われるのは重・不良の馬場の荒れた状態を意味します。重馬場にも滑る状態と力が要る馬場の2種類があり、一般的には爪の小さい馬(爪が立っている馬)は滑る馬場が得意で、爪の大きな馬(お皿を伏せたような爪の馬)は滑る馬場を苦手とします。そしてストライド走法の馬(俗に言う飛びが大きい奇麗な馬)は苦手、ピッチ走法(歩幅が小さく回転数の多い馬)の馬は得意と言われます。前脚のカキ込みが強い馬は得意で、後脚のケリが強い馬は苦手とします。競走馬の特徴は調教VTRやパドック・返し馬で確認できるので、馬場が悪くなりそうな時はしっかりチェックしておきたいですね。

馬場状態によって変化する決着タイム

競馬のレースでの勝ちタイムというのは、馬の実力ももちろんそうですが、それが行われている競馬場の馬場状態にも大きく左右されます。競馬場は開催期間がわかれていて、その開催期間の最初と最後では馬場状態がかなり変化します。開幕週の芝コースはまったく荒らされていない状態で整っているので、かなり決着タイムが速くなりやすく、逆に最終週は馬場が荒れていてパワーが必要となり、決着タイムも遅くなります。

持ちタイムから推測できる能力限界

持ちタイムというのは、文字通りその馬自身のもっている最速のタイムのことです。競馬というのはタイムトライアルではないので、相手に勝ってしまえばそのタイムがたとえどんなに遅かろうとも勝ちは勝ちです。ですから、もう勝利は間違いないという状況になったらジョッキーも手綱をしごくのをやめますよね。

レースでの着順は、そのレースに出走した馬たちに対する相対的な能力を示すといえますが、走破タイムに関してはその馬の絶対能力を示していると言っていいでしょう。その観点から考えると、レース展開などでも決着タイムはかなり左右されますが、あまりタイムが速くなるようだと能力の限界で走れない馬がでてきます。ここに目をつけると、開幕週では持ちタイムの速い馬が有利(持ちタイムのない馬は不利)と想像ができるでしょう。仮に成績のいい馬がいたとしても、その馬が勝った時のレースのタイムが遅いものばかりだとしたら、開幕週のような高速決着が予想される馬場では出番はない可能性が多々ありますね。

競馬新聞を眺めてみると、必ずその馬の出走するレースと同じ距離でのベストタイムが載っています。印がまったくついておらず、人気がまったくなかったとしても、そのレースが開幕週などで高速馬場の場合思いもよらず台頭してくることがよくあります。持ちタイムから意外な穴馬を発見することができるかもしれません。

馬場状態に左右される脚質の有利不利

先ほど馬場状態とレース展開でタイムはかなり左右されると書きましたが、馬場状態によって脚質にも有利不利が働くことがあります。競走馬の戦法を大きく4つに分けると、「逃げ」「先行」「差し」「追い込み」となります。文字通り「逃げ」とはスタートから飛び出して先頭に立ってゴールまで粘りきるレースをし、「先行」は逃げ馬の後の前目の位置で競馬をして早めに抜け出し、「差し」は先行馬の後ろにつけて道中脚をため、徐々に上がっていき直線で前を捕らえ、「追い込み」は道中後方に待機して、直線勝負にかけて前をゴボウ抜きする戦法です。

パンパンの高速馬場では

ここで注目したいのは脚質ごとのラップタイムです。逃げ・先行馬は最初に加速する分、ラストはバテてきてラップタイムは遅くなります。そこを脚を溜めていた差し・追い込み馬が差し切りを狙うのですが、開幕週などの高速馬場でレースが行われると、逃げ馬がバテてもなかなかとまらない現象が起きます。人間にたとえると分かると思いますが、陸上のトラックを走るよりも雑草の中を走ったほうが疲れやすいですよね。陸上のトラックで走るほうがバテるのも遅く、バテてもスピードの鈍りは緩やかです。同じことが馬にも言えて、高速馬場では馬はバテても失速しづらいのです。そうなると、それまでに後続につけていた差がモノを言って逃げ切ってしまうことが多くなります。

馬場状態が良ければ差し・追い込み馬の最後の脚もより一層切れるのではないかという疑問が発生するかもしれませんが、どんなに馬場が良くても馬の能力の限界というものがあります。限界を超える末脚を使うと馬自身の体が壊れてしまいます。ガラスの脚と形容されるように、馬の体はとても繊細です。

雨などによる不良馬場では

パンパンの高速馬場が逃げ・先行馬に有利なのであれば、不良馬場は差し・追い込み馬に有利なんだろうという推測がたつと思います。しかしそれは間違いです。時計のかかる不良馬場になっても、またしても逃げ・先行が有利となってしまうのが競馬なのです。

何故不良馬場でも差し・追い込み馬が不利になるかというと、追い込み馬の使う鋭い末脚というものは、良馬場でこそ一番持ち味がいきるものだからなのです。馬場が渋ると、追い込み馬といえども大した末脚を使うことが出来ず、結局逃げ・先行馬と脚色が同じになってしまい、追い込みが不発に終わってしまいます。

馬場状態理論まとめ

馬場状態が及ぼす影響について見てきましたが、特殊な条件化において浮上してくる馬がいるというのがわかっていただけたかと思います。馬場状態によって予想もガラッとかわってきますね。


 

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